今年のNHK「ラジオ英会話」テキストで楽しみにしているのが、クリスさんの英語によるエッセイ「クリスの英語よもやま話」です。
4月号のテーマは英語のことわざ、5月号はブリティッシュ・フードでしたが、6月号ではクリスさんの母校、オックスフォード大学の思い出を紹介しています。
これからも、イギリスの香りのするエッセイが続きそうで楽しみですが、「ラジオ英会話」のテキストの中では異色の「書く英語」のパートでもあります。
私が「ラジオ英会話」を聴き始めて気づいたのは、たとえばLESSON44で、ジェシカが考古学者になろうと思ったのは映画を見たのがきっかけと言ったのに対し、ピーコック教授が
And that really inspired you?
(そして、それがあなたにとって大きな刺激になったんですね?)
と尋ねた文。
「主語+動詞」という語順は平叙文ですが、会話では文末を上げて言えば疑問だということは伝わります。こういうパターンが「ラジオ英会話」のダイアログでは頻繁に出てきます。
よく「英会話では文法は気にするな」というオススメがあります。
でもそれはこの程度のおおらかさのことで、「英語は配置の言葉」という基本を崩していいということではない、ということを、「ラジオ英会話」のリスナーである私たちは毎日叩き込まれているのだと思います。
さて、クリスさんのエッセイに戻りますが、これは「書き言葉」なので、先ほどのような文は一切出てきません。反対に、ダイアログでは決して見ないような文を今月も見つけました。
Nor will I ever forget that first essay title she gave me on Benjamin Cponstant's Adolphe.
(彼女から課された、バンジャマン・コンスタンの『アドルフ』に関する最初の小論文のタイトルも絶対に忘れないだろう。)
喫茶店での会話で、"Nor will Ì 〜” などと始められたらひっくり返りそうですが、スピーチのように、純粋な話し言葉と書き言葉の中間になるような場合では、こういった「倒置」は効果的な強調をしたい時のジョーカーとして使われるます。
そんなときも、こういう文を読んだ経験があれば、戸惑わずに済みますね。(*^_^*)
今回は、若き日のクリスさんがオックスフォード大学で、担当教授とマンツーマンの厳しい教育を受けた話なので、ちょっと難しい文を1つ入れたのかな?
とも思いますが、単語の解説と全訳もついているので、まだ読んでいない方にもぜひおすすめです。