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地名と定冠詞theの関係

「ニュースで学ぶ現代英語」 4月2日の放送は、フィリピンのドゥテルテ前大統領が、人道に対する犯罪の疑いでオランダのICC国際刑事裁判所)に引き渡された、というニュースでした。

 EX-PHILIPPINE PRESIDENT DUTERTE HANDED OVER TO ICC

ICCは、オランダ(the Netherlands)のハーグ(The Hague)にありますが、どちらも定冠詞the(ハーグには大文字のThe)がついています。

これはどうして? ということは放送にはなかったので、確認してみました。ご参考になれば幸いです。なお、以下は、「英文法解説」(江川泰一郎著、金子書房)に基づいています。

 

【地名と定冠詞 the】
まず、一般的な傾向として、地名にtheをつける3つの場合があります。
 1) 形容詞+普通名
  (例) the Middle East(中東)
 2) of 〜 で限定されるもの
  (例) the Gulf of Mexico(メキシコ湾) ← トランプの勝手な改名には反対
 3) 複数形
  (例) the Alps(アルプス山脈

 

国名の場合は、一般に無冠詞ですが、上の2)と3) に該当するとtheがつきます。
  (2の例) the People's Republic of China(中国) 
  (3の例) the Netherlands(オランダ) → 今回のニュースに出てきましたね。

ここで次の文を見てみましょう。
  Canada lies north of the United States (of America).
    カナダは(アメリカ)合衆国の北にある。

the United Statesは、of Americaがあってもなくても上の原則2と3に該当するのでtheがついていることがわかります。それで略しても the USとなります。

しかしAmericaだけで使う場合は、単なる固有名詞なので無冠詞になる、ということですね。

 

国名はこのように説明されていますが、もう一つの The Hagueという都市の場合は少し事情が違います(これは「英文法解説」には記載がありません)。

これは、日本語では単に「ハーグ」と呼びますが、地元オランダではDen Haagデン・ハーグ、ただし正確な音は「デン・ハーハ」に近いようです)で、Denは定冠詞です。英語表記はそれに従っているようです。

これはオランダに限らず、多くのヨーロッパ言語には慣習として、「大文字はじまりの定冠詞 + 大文字はじまりの名詞」で地名を表すという表記法があり、英語でThe Hagueと冠詞がTheになるのもそれを尊重しているためのようです。

 

このほか、地名では(これも「英文法解説」より)
 海・川(the Pacific Ocean、the river of Nile)
 群島・山脈(the Hawaiian Islands、the Rocky Mountains/the Rockies)
  *Mt.Fujiは1つの山なので無冠詞
 海峡・半島(the English Channel、the Izu Peninsula 伊豆半島
などの場合に the がつきます。

これに関連して、アメリカの州名は固有名詞として無冠詞です。それで、Mississippiなら「ミシシッピ州」ですが、the Mississippiだと「ミシシッピ川」になります。

 

最後に、今回お世話になった「英文法解説」は、1953年の初版以来何度か改訂されていて、私は大学受験の時から使い続けています(今持っているのは書い直した1991年版)。

見た目は単色刷りで素っ気ないですが、例文も豊富で本当に良書ですのでご紹介しておきます。